なぜBtoBマーケティング戦略は死ぬのか?実務で活かせる戦略立案と実行の4ステップ【5年以上の現場経験から解説】
こんにちは!
SUSUMEでBtoBマーケティングの研修講師をしている空閑(くが)です!
今回は「自社の商材が、もっと売れるようにするには?」というBtoB企業の永遠の課題ともいうべきテーマで「BtoBマーケティングの戦略と実行ステップ」についての記事を書いてみたいと思います。
BtoBマーケティングの戦略に関する理論やフレームワークには様々なものが存在します。
SWOT分析、STP分析、バリュープロポジション、ペルソナ、カスタマージャーニー…などなど。
世の中に溢れている「BtoBマーケの戦略と実行」に関するノウハウは「理論やフレームワークの概要や使い方」が中心であるように思いますが、これらはマクロ的な視点(全体像を掴む)の要素が非常に強いです。
理論やフレームワークは「全体を俯瞰する」という点では、とても便利ですが、実行に移すとなると正直それだけでは足りないのではないかと思います。
なぜなら「理論やフレームワークのテンプレを埋めただけの戦略」だと、絵に描いた餅・机上の空論で終わってしまい「言ってることは何となくわかるけど、じゃあ具体的にどうするの?」が抽象的過ぎてしまうからです。
それは結果的に、実際に現場で動くマーケター、営業の中で迷いを生じさせます。まあ、分かりやすく言うと「戦略を作ったはいいけど、誰も使わない・誰も活かさない・現状は変わらない」ということになってしまうわけです。
つまり、戦略を立てるときは「全体を俯瞰する」だけでなく「できるだけリアルな要素・現場の要素も取り入れる」という観点が必要不可欠だ、ということになります。
そこで、この記事では、BtoBマーケティングの戦略と実行ステップについて、理論やフレームワークといったマクロ的な視点(全体俯瞰)と、実際のBtoB現場というミクロ的な視点(現場視点)の2つをふまえて、どうしていくと良いか?を書いていきます。
なお、商材が売れるには集客・営業だけでなく、そもそもの売り物(商材)も良いものである、という視点も必要ですが、商材自体の話と集客・営業をごっちゃにすると、複雑化するため、この記事ではBtoBマーケティングの戦略を「集客・営業」というに絞って書きたいと思います。
目次
- 1 BtoBマーケティング戦略立案の4ステップ
- 2 BtoBマーケティングの戦略をマクロ視点(全体俯瞰)で考える
- 3 BtoBマーケティングの戦略をミクロ視点(現場視点)で考える
- 3.1 実行ステップ③:ペルソナ作成
- 3.1.1 ペルソナとは
- 3.1.2 BtoBのペルソナ理論の落とし穴(顧客の「本音」について誰も触れない)
- 3.1.3 BtoBのペルソナの実態(顧客担当者は「建前」しか言わない)
- 3.1.4 BtoBのペルソナの思考実験(顧客担当者の「属性」にフォーカスする)
- 3.1.5 BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(社会人はもがきながら仕事をしている)
- 3.1.6 BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(商材の導入は無間地獄の始まり)
- 3.1.7 BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(無間地獄はいつ終わるのか?)
- 3.1.8 BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(ヒーローがいれば無間地獄は終わる)
- 3.1.9 BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(ヒーローはあなただ)
- 3.1.10 BtoBのペルソナを再定義する(人間ドラマが無いペルソナは空想になる)
- 3.1.11 BtoBのペルソナを作成する(人間ドラマが大事)
- 3.1.12 ペルソナのまとめ(顧客の「不」を解消しよう)
- 3.2 実行ステップ④:カスタマージャーニー作成
- 3.1 実行ステップ③:ペルソナ作成
- 4 BtoBマーケティングには「ドロドロした人間ドラマ」がある
BtoBマーケティング戦略立案の4ステップ
私の経験上、BtoBマーケティングの戦略と実行ステップは、以下の流れで進めると、思考が整理しやすいのではないかと考えています。
- 実行ステップ①:「自社の商材は何が得意なのか?」を整理するSWOT分析
- 実行ステップ②:「自社の商材はどの土俵で勝負すべきなのか?」を整理するSTP分析
- 実行ステップ③:「自社の商材を誰に売るのか?」を整理するペルソナ作成
- 実行ステップ④:「自社の商材が売れる流れをどのように設計するのか?」を整理するカスタマージャーニー作成
と、ここまで書いたことは抽象的過ぎるので「ふーん、そうだんだー」になってしまいますよね。そのため、各実行ステップ①~④について「どういうものなのか?」「何のためにやるのか?」「なぜやるのか?」を、もう少し分かりやすく説明したいと思います。
なお、この記事では、実行ステップ①②は「マクロ視点(全体俯瞰)」、実行ステップ③④はミクロ視点(現場視点)という分け方で解説していきます。
最初にお伝えしておきますが、僕はBtoBマーケティング界隈の大きな問題点に、今回取り上げる「戦略」「フレームワーク」が抽象的過ぎるという点が挙げられる、と考えています。
しかし、理論は正しいとも思っています。
ただ、正しいことと使えることは別物だ、ということです。
BtoBマーケティング界隈で取り上げられる戦略の理論は非常に抽象的なので、実際の現場で活かそうとすると、理論→現場に落とし込むという思考が必要になります。
例えばこんな感じです。
理論について調べる→よし、理論は分かった→では、自社ならどう使うか?→自社ならこういう風に使えそうだ!→では、それを現場で使えるようにするにはどうすればいいか?→自社の現場ならこういう風に使えるんじゃないか?→よし、この形でやっていこう!
理論やフレームワークを「実際に使えるもの」に落とし込む過程には、上記のような思考のステップを踏む、というプロセスがありますが、まあ、この「理論→現場の間」。ここの溝が深いこと深いこと。海よりも深い。
だから、こんなことが起きます。
- フレームワークのテンプレに「自社ならこうじゃない?」を埋めていく
- 埋めたものが「戦略」になり、そこからまた具体的に施策に落としていく
マーケティングに力を入れている・入れようとしているBtoB企業では、おそらく、取り組みの過程で、この記事で取り上げる理論やフレームワークを知り、それを使ってみる、ということをされているのだと思いますが、この記事に辿り着いた方は「そうそう、それはやってるんだけど、なんかうまくいってないんだよな…」と感じていらっしゃるのではないかと思います。
僕は先ほど「戦略はテンプレを埋めるだけじゃ足りない」という言い方をしましたが、おそらく、多くのBtoB企業さんが「しっかりと考えて」テンプレに埋めていらっしゃるのだと思います。
が、ここが非常に難しい。
なぜなら、自社の商材を売るお客さんがどんな会社で、そこで働く人がどんな人たちで、働く人たちが普段どんな仕事をしているのか?までは、想像することが難しいからです。
BtoBなので、商材を売る相手先は企業ということになりますが、実際に広告をクリックするのも、サイトに訪れてくれるのも、問い合わせしてくれるのも、打ち合わせの予約をしてくれるのも「相手先の企業で働く人間」なんですね。
だから、理論やフレームワークを現場で使えるものにするためにはBtoBとは言え「人間相手の商売である」という超現実的な視点を持たないと机上の空論・絵に描いた餅になってしまうわけです。
で、僕が一番問題だな、と思うのは、世の中のBtoBマーケティングの戦略のお話には、この「現場のドロドロした現実」が驚くほど登場してこないこと。
これでは「戦略は現実との乖離が生まれるわけだ」こんな風に思うわけです。
この記事で取り上げる実行ステップ①~④はマーケティング戦略に関するフレームワークで、テンプレもたくさん存在します。
僕は、この記事を読まれる方に、できるだけ具体的にそれらの活用イメージを掴んでいただきたいと思っています。
この記事で取り上げる実行ステップ①~④は、どれも理論としては非常に抽象的なものですが、視点がやや違います。
登山に例えると、実行ステップ①②のSWOT分析とSTP分析は「山に登るときの登山計画」みたいなものです。
実行ステップ③④のペルソナとカスタマージャーニーは「当日の登山が円滑に進むようにするための準備」という感じです。③のペルソナは、登る山の地形や特徴を事前に把握する下調べ、④は当日の登山が問題なく進む場合、問題が起きた場合を想定して動けるようにするしおり、みたいなイメージです。
この記事では、実行ステップ①SWOT分析・②STP分析については具体的な説明を、実行ステップ③④のペルソナとカスタマージャーニーについては、ドロドロした現場視点を交えた説明を行います。記事の肝は③④のペルソナとカスタマージャーニーだと考えているため、これら2つはやや厚めに書いています。
なお、僕は理論やフレームワーク自体は否定しません。
理論→現場に活かすには?というところがクリアになれば「埋めるだけ」の方が考えやすいからです。理論→現場の間の溝をできるだけ埋めたいというのが本音です。
どの理論・フレームワークも書き方やテンプレートみたいなものは、わかりやすくまとめている記事がたくさんありますので、実際に書き出すときはその辺りの記事を参考にすると良いと思います。
この記事では、理論やフレームワークといった「教科書的な話」を実務に沿って、説明しますので、エッセンスだけ感じ取っていただけたら嬉しいです。
前置きが長くなりましたが、それでは、実行ステップ①~④について、具体的に書いていきます!
BtoBマーケティングの戦略をマクロ視点(全体俯瞰)で考える
実行ステップ①:SWOT分析
SWOT分析とは
まずはSWOT分析から。
このSWOT分析を「教科書的に説明する」と以下のようなものになります。
SWOT分析とは、企業の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の4つの視点から現状を把握し、戦略立案に活かすフレームワークです。
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
「SWOT」は、上記の頭文字で、事業目標の達成や課題解決に向けた、最適な方向性を導き出すのに役立ちます。
はい、なんか眠くなりそうな話ですね。
要はこういうことです。
- あなたの商材は誰の何を解決するものなのか、何が得意なのか?(強み)
- あなたの商材は何が不得意なのか?(弱み)
- あなたの商材にとって追い風は何なのか?(機会)
- あなたの商材は何に脅かされるのか?(脅威)
SWOT分析の活用例(情報の洗い出し)
それでも、やや抽象的ですね。
具体例を挙げてもう少し説明しましょう。
例えば、あなたの会社の商材が「企業向けの経理ツール」だったとしましょう。
このとき、あなたの商材に以下のような特徴があるとします。
- 最短で即日導入が可能、手軽な価格帯
- 他のシステムとの連携ができる
- 決して多機能とは言えない
- 運営実績1年、導入事例が少ない
- 来年、消費税の改正が行われる予定がある
- 経理ツールで使える補助金がある
- 生成AIをベースにした経理ツールが出てきた
SWOT分析の活用例(情報の分類)
このとき、SWOT分析の観点で、これらの特徴を分類していくと。
以下2つは強みになるかもしれません。
強み:
最短で即日導入が可能、手軽な価格帯
→「早く導入できる・スモールスタートできる」は商材の導入のハードルを低くできるから。
他のシステムとの連携ができる
→「既に使ってるシステム」とつなげられると今の運用の延長で導入できるから。
逆に、以下2つは弱みになるかもしれません。
弱み:
決して多機能とは言えない
→複雑な運用をカバーするために高機能さを求めるお客さんには合わないかもしれないから。
運営実績1年、導入事例が少ない
→まだ歴が浅い、実績の少ない商材は老舗と比べて見劣りするから。
しかし、以下2つは、追い風になるかもしれません。
追い風:
来年、消費税の改正が行われる予定がある
→お客さんが既に使っている経理ツールにも変更が加わる可能性が高い≒このタイミングでシステムを見直す企業がいるかもしれないから。(今使っているツールのアップデートが遅い、などの背景があると、なおのこと見直される可能性は上がる)
経理ツールで使える補助金がある
→補助金が使える≒導入コストを下げられる可能性があるから。
そして、以下は脅威かもしれません。
脅威:
生成AIをベースにした経理ツールが出てきた
→SaaSなどの場合、生成AIが出てくるまでは「どこでも使える」とか「システムを使えば運用が効率化できた」ということは価値でしたが、システム導入後の運用フェーズにでてくる手作業や目視確認など、システムを使う人間側に残る非効率・面倒そのものを、生成AIが担うみたいなことが起こると「今までの価値は、そのまま維持できるのか」という疑問が湧いてきますよね?
→生成AIが出てくると、今までの「便利なシステム」という価値が「AIがやってくれるからシステムを触る必要すらない」という価値に上書きされるかもしれません。(これは他人事ではないですね…)
SWOT分析の活用例(戦略の軸決め)
これらをまとめると、例えば、こういう風に考えることができそうです。
SWOT分析から導き出した戦略の軸:
同じくらいの価格帯の競合と同じ土俵なら優位に立てるかもしれない
→同じ価格帯なのに、早く導入できる・連携できる、は推しポイント。
→「それならありかも」と思う層はいるかもしれない。
弱みを強みに変えることもできるかもしれない
→多機能でも使われなければただの複雑な、使いにくいシステムでしかない。
→シンプルな機能を求める層もいるかもしれない。
→しかも、最近出たばかりのシステムなら老舗企業よりもUIや先進性で勝るかもしれない。
法改正は「すべての企業に影響を与える」、ならば、お客さんの関心度は一気に上がるはず
→法改正の前後をわかりやすく説明する記事やセミナーが集客上のプラスに働くかもしれない。
→例えば「消費税の法改正のBefore Afterを分かりやすく教えます」というセミナーを開催して集客。
→セミナーの後半で「実は弊社、こういうツールを提供している、法改正にもバッチリ対応、乗り換えキャンペーン実施中」の告知をするなど。
生成AI対応のシステムが何をやっているのかを調査し、製品の開発ロードマップに乗せるべきか検討する
→これはこの記事のテーマである集客や営業とは別のテーマ「商材力」に関するお話になってしまいますが、ツールが生成AIに対応することでより使いやすくなるならプラスになる、商品力上がるれば、マーケや営業がより売りやすくなるかもしれない。
→生成AIは昨今では、依然関心の高いテーマですよね?
SWOT分析のまとめ(目的とやる理由)
とまあ、SWOT分析は自社の商材の特徴を書き出して「強み・弱み・追い風・脅威」をに分類し「どこを推すのか?」「より売れるために何を利用するのか」みたいな観点で考えていくと、活用の仕方が見えてくるのではないかと思います。
では「SWOT分析は何のためにやるのか?」という話ですが。これは、「自社の売り物の価値とは何なのか?」をあなたの会社で共通の認識を持つために行います。
もう一段深掘りします。なぜ共通認識を持つ必要があるのか?
例えば、もし、あなたの会社の社長さん、マーケ担当のAさん・Bさん、営業担当のCさん・Dさんの間で「自社の商材の一番得意なことは何か?」に対する認識が違ってしまっていると、集客や訴求、商材説明の軸がブレブレになってしまいますよね。それを防ぐためです。
マーケのAさんと営業のCさんでお客さんに伝えるべきことがバラバラになってしまっては、困るのではないでしょうか?
例えば、マーケはサイトや資料で高機能を推しているのに、実際は高機能じゃないから、営業は商談では高機能を推さない、みたいな感じです。で、こんなことが起こると、お客さんが「あなたのツールは、どっちなの?」になってしまう。(これが一番良くないことです)
つまり、最終的にあなたの会社の商材とお客さんの間にミスマッチが起きたりして、集客はできるけどアポにつながらない、商談にはなったけど受注できない、結果的に売れないなんてことが起こりそうですよね?
だから、まずは商材の推しポイントについて「社内全員の認識を合わせる」というステップを踏んだ方が良いのです。
そしてそのうえで今度は「じゃあうちの商材は、どの土俵で戦えばいいのか?(逆に、どこで戦ってはいけないのか?)」を考えていきます。 それが次のステップ「STP分析」です。
実行ステップ②:STP分析
STP分析とは
続いてSTP分析です。
これも「教科書的な定義」からいきましょう。
STP分析とは、市場を細分化(S)し、狙う顧客層(T)を定め、競合との差別化の立ち位置(P)を明確にするフレームワークです。
- Segmentation(市場細分化): 企業規模、業種、顧客担当者の職種、関心事、などで市場をグループ分け
- Targeting(ターゲット選定): 分割した市場から、自社が勝てる市場(規模、成長性、競合状況)を選択
- Positioning(位置付け): ターゲット層に対し、競合と差別化できる独自の立ち位置を確立
「STP」は、上記の頭文字で、SWOT分析で自社・自社の商材を取り巻く環境を把握した後に、戦略の方向性を具体化する際に非常に有効です。
うわー…これも眠くなりそうな話ですよね。
要はこういうものです。
- 負ける喧嘩は最初からしない
- 勝てる喧嘩だけ買う
ドラえもんに登場する、のび太はジャイアンに喧嘩を売っても勝てないかもしれませんが、出木杉君には勝てるかもしれないですよね。(なお、出木杉君の戦闘力は、53万かもしれませんが)
冗談はさておき。
つまり、例えば、今回の経理ツールの例で言えば、大手競合がひしめく「機能フル装備・高価格帯市場」に、もし、資本力の少ない企業さんが喧嘩を挑んでもジャイアン的な企業にボコボコにされるだけ。
でも、絶対に勝機は無いのか?と言えばそうとも限らない。
「機能はシンプルだけど、特定の業界に特化して使いやすい」など、土俵(ターゲット)を選べば、そこは「自社が一番強くなれる場所」になるかもしれない。
例えば、「従業員規模」「ITリテラシー」「既存システムの有無」など、様々な切り口で考えると色々と出てくるかもしれません。
逆に、見た目は爽やかな出木杉君のような競合商材でも、いざ戦場(市場)で出会ってみたら怪物級に強い強豪だった…なんてこともあるのがBtoBの怖さ。だからこそ、相手をよく見て土俵を選ぶ必要があるんですね。これがSTP分析の正体です。
STP分析の考え方(勝負する土俵を選ぶ)
そして、全知全能の人間が存在しないのと同じで、全知全能の商材も存在しません。高機能だけど価格が高い商材もあれば、機能はそこそこだけど安くて使いやすい商材もあるのです。
加えて、お客さんの要望も一種類ではありません。予算も人員も潤沢で複雑な業務フローが存在するお客さんは、高機能の方が良いのかもしれませんが、社内スタッフが少ない、システム的なリテラシーが高いわけではない、業務フローもそこまで複雑ではないお客さんであれば、高機能・高価格は検討の土台にすら乗らないかもしれません。
つまり、戦える土俵を選ぶことは「選んでもらえる可能性のある、お客さんの前に立つ」ということなのです。
STP分析の考え方(土俵選びは全体俯瞰の方が考えやすい)
こうした戦う土俵を考えるときに、ミクロ的な視点、例えば「うちのツールはこの特定の機能が強い」とか「うちの営業の〇〇君は優秀だから」とか、そういった細かすぎる視点で考えてしまうと、物事が複雑化し過ぎて、全体を捉えにくくなってしまいますよね。
なので、戦略を立てるときは全体俯瞰から入った方が考えやすいのではないかと思います。
戦略という大げさな話でなくても「全体から考えた方がスムーズに事を運べる」ということは結構ありますよね。例えば、あなたが会社の飲み会の幹事になったときを想像してみてください。
いきなりメニューを決めるとか、二次会どうするか?なんてところから考えないですよね。いつにする?から始まり、どこで開催する?何時から何時までやる?といった全体への影響が大きいところから考える。
それらが決まった後に、じゃあ、好き嫌いが別れにくいジャンルのお店にしようか?とか、二次会は希望制にしようか?といった、細かい話を詰めていく。
全体から考えて、徐々に細かい話に入っていった方が決めやすいし、進めやすいですよね。それと同じです。
STP分析の考え方(土俵選び=戦略の方向性決め)
このSTP分析は、何のためにやるのか?ですが、これは、ここまでお話したような「自社の売り物は、ここなら勝負できる!」というものを、あなたの会社の中でいったん「確定させる」ために行う。そして、「自社の売り物が勝負する土俵はここだ」という共通認識を、みんなで持つために行う、ということになるかと思います。
STP分析のまとめ(目的とそれをやる意味)
もし、あなたの会社の商材が、明らかに分が悪い土俵で勝負を挑んでしまったら、うまくいく可能性は低くなりそうですよね。(負ける喧嘩はしない方がいい)
例えば、あなたの商材が戦う土俵として、あなたの会社にとって分が悪い土俵を選んでしまったら。例えば、こんなことが起こるのではないかと思います。
マーケが集客をするためにめちゃくちゃ広告費を投下したけど、強い競合に競り負けて顧客の獲得コストがめちゃくちゃ上がる(お金の無駄使い)
→資本・リソースが共にあなたの会社より潤沢にある、競合と同じ検索キーワード、同じ広告の見出しで、検索広告を出したらどうなるか?
→同じ条件なら広告費をより多く投入できる方が強い気がしませんか?
営業が確度の低い顧客やミスマッチした顧客ばかり相手するみたいなことになり、めちゃくちゃ苦労するのに売れない、売れてもあまり売れない(頑張るけど報われない)
→あなたの商材よりも圧倒的に安い競合の商材と同じようなことを書いているプレゼン資料で、同じようなものに聞こえる商材の説明をお客さんにしてしまった場合、安い方が選ばれる気がしませんか?
→「内容が同じ(に見える)」なら、安い方を選ぶのが消費者心理。
集めてくるお客さん・打ち合わせするお客さんと、あなたの商材が「できるだけミスマッチしないようにするため」ということが一番わかりやすいのではないかと思います。
全体俯瞰で戦略を立てる意味(SWOT分析とSTP分析のまとめ)
ここまでのお話をまとめるとSWOT分析とSTP分析を行う理由は以下になります。
- SWOT分析は「自社の商材が一番強くなれる条件を決める」ため
- STP分析は「自社の商材が一番強くなれる土俵を決める」ため
自社の商材が一番強い条件で、一番強くなれる土俵で戦うことができたら。
商材が売れるようになる可能性が出てくるということです。
逆に、自社の商材が相対的に弱い条件下で、相対的に弱くなる土俵で戦ってしまうと、売れる可能性は下がる、ということです。具体例を挙げると「貴重な自社のリソースを無駄に消費して終わるかもしれない」ということになるかと思います。
そして、SWOT分析とSTP分析をやる意味について、もっと実務的な言い方をすると「貴重な社内リソース(ヒト・モノ・カネ・時間)を割く対象を、いったん決める」つまり、「やらないことを決める」ということですね。売れる可能性のある土俵を選択し、リソースを投下することで、消耗を避け、かけたコストに見合ったリターンを得られるようにする、というイメージです。
なお「勝てると思った土俵で戦った」からと言って、うまくいくかは分かりません。やってみないと分からないからです。でも、そのやってみないと分からないことでも「可能な限り失敗しないように最善を尽くす」。このために全体俯瞰で戦略を考えるわけです。
と、ここまでが「全体俯瞰で戦略を立てる」というお話でした。しかし、ここまでのSWOT分析もSTP分析も、先ほどの例「登山」で例えるなら「登山計画」に過ぎません。
山の天候は読めませんし、道中でけがをするかもしれません。疲れたイライラから喧嘩が始まるかもしれません。BtoBマーケティングも、営業も、お客さんも「予定通りに物事は進まない」ものです。
そこで、ここからはそんな「教科書通りにはいかないよね」という「現実」を直視しながら、ミクロ視点(現場視点)での戦略を立てる、という話をしたいと思います。
そこで登場するのがペルソナとカスタマージャーニーのお話です。
BtoBマーケティングの戦略をミクロ視点(現場視点)で考える
ここからがこの記事で一番お伝えしたい内容になります。
この記事のテーマでもある「戦略」を絵に描いた餅・机上の空論にしないための肝である、ペルソナとカスタマージャーニーのお話をしていきます。
実行ステップ③:ペルソナ作成
ペルソナとは
ペルソナと聞くと、「ああ、あれね、性別とか年齢層とか趣味とかをまとめたやつね」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。半分は合っていますが、BtoBにおいてはその辺りの属性情報はまとめても無駄になるのではないかと思います。
なぜなら、BtoBの商材は個人相手ではなく企業相手だからです。
例えば、あなたの会社も何らかのツールを導入したり、社員の方に外部の研修を受けさせたりした経験があると思いますが、そのときにその商材を売っている会社の担当者さんに対して「ああこの人は僕と同い年だ!」とか「この人と趣味が合ったから」とか言う理由でその商材を導入しましたか?
ゼロではないかもしれませんが、お見合いではないので、そんなことは起きないと考えた方が現実的ではないでしょうか?
では、話を本題に戻します。
ペルソナを作成する目的とやる理由は「誰に売るのか?」を「具体的」にするためです。
そして、この「あなたの商材を売る相手を具体的にする」。これが非常に厄介です。
なぜなら、あなたの商材を売る相手は「企業」に見えてしまうからです。
え?どういうこと?と思われるかもしれません。
BtoBビジネスなんだから企業にモノやサービスを売るのは当たり前だろう。
こんなことを思う人がほとんどだと思います。しかし、本当にそうでしょうか?
ここであなたに質問です。
「企業」「会社」とは一体何でしょうか?
- 経済を回している主体
- 経営活動をしている団体
- 法人格?組織?チーム?
全部正しいです。
が、その企業では、誰が「意思決定」をするのでしょうか?
社長さんや決裁者さんが意思決定しますよね。
その社長さんや決裁者さんは何者ですか?「人間」ですね。
社長さんや決裁者さんと同じ会社で働くのは誰ですか?「人間」ですね。
では、聞きます。
企業で働くあなたは何者ですか?「人間」ですね。
そうなんです。企業や会社は「人間の集まり」なのです。
意思決定も検討も情報収集も、すべて人間がやるのです。
なので、BtoBビジネスも「人間相手の商売」なのです。
なので、このペルソナ作成では「あなたの商材を誰に売るのか?」を対会社ではなく、対個人(会社で働く個人)にフォーカスして具体化していく必要があります。
BtoBのペルソナ理論の落とし穴(顧客の「本音」について誰も触れない)
では、話を少し戻しましょう。
人間相手の商売なら「なぜ年齢・性別・趣味等の属性は無駄なのか?」という話です。
結論からいくと完全に無駄とは思いませんが、目に見えて意味があるものにはなりにくいというお話です。
どういうことか?
これは、企業で働く人はみんな「仮面」を付けるからです。
- 社会人なんだからちゃんとしよう
- 身だしなみはちゃんとしよう
- 挨拶はしっかりしよう
- 礼儀正しくしよう
- 目上の人には敬意を払おう
これ、全部、社会人の「仮面」、つまり「建前」です。
ここからが大事です。
社会人はみんな建前で生きている。
でも、本当は、こうじゃないでしょうか?
- 友達と酒を飲みに行けば仕事の愚痴がこぼれることもある
- 仕事でお客さんに怒られたら辛くて泣きたくなることもある
- 上司に小言を言われたら死ぬほどイラっとする
- 社長から「早くやれ」と言われると社長は現場が分かってない!と叫びたくなる
これは社会人の仮面の下にある「本音」です。
しかし、ひとたび、自宅の玄関を出たら、通勤のために電車に乗ったら、会社のオフィスに入ったら。一瞬で「仮面」をつける。
仕事になると、その仮面はさらに厚くなる。
- 昨晩の愚痴はどこにいった?
- こぼれた涙はどこに隠した?
- こみ上げた怒りはどこにしまった?
社会人は本音を全部、心の奥にしまって鍵を閉める。
で、会社は「仮面をつけた人たちの集まり」になる。
ここには「個人の属性」なんて一切ない。
- 女性だから、若いから
- 経験が浅いから
- 趣味は映画鑑賞です
- 休日は釣りに行くのが好きです
一切、関係なくなる。
BtoBのペルソナの実態(顧客担当者は「建前」しか言わない)
ここまでのお話をまとめると、会社という組織で働く社会人は「ほぼ100%建前で動く」ということです。
どういうことか?
社会人は、男性であれば、朝起きてひげをそり、髪をセットし、正装をして、仕事を始めます。なんででしょうか?「社会常識がそうなっているから」ですね。
では、質問です。
この社会人の方があなたとの商談に訪れたとき、自分の素をさらけ出すと思いますか?
出さないですよね。
- 社会人として行儀よく挨拶をして
- 会社の一員としてきちんと名刺交換して
- 会社の一員としてあなたの会社に何を求めているか?を説明する
この一連の流れでその人の年齢や趣味や休日何をしているか?
なんて出てくる要素は一つもありません。
むしろ、その商談に訪れた人が誰からの指示で動いているのか、その商談で見聞きした情報を会社に持ち帰った後、どんな仕事をするのか?こっちの方が大事じゃないでしょうか。
なぜなら、商談に訪れた人は「遊び」ではなく、「仕事」であなたの前にやってくるからです。なら、相手の仕事がなんで発生しているのか?相手の仕事は何なのか?をペルソナに落とし込んだ方が、リアルなものになるような気がしませんか?
なお、ペルソナに趣味やは休日何しているか?は無駄だとバッサリ切り落としましたが、補足します。結局、BtoBであれ、人間対人間のコミュニケーションなので、無駄ではないと思います。
例えば、仕事の話をするだけの人と、雑談ができる人だと、仕事でも後者の方が話しやすかったりしますよね。緊張が溶けて話しやすくなるみたいな。営業さんの中にはこういうコミュニケーションがとてもお上手なコミュ力お化けの方もいますよね。(羨ましい…!)
BtoBのペルソナの思考実験(顧客担当者の「属性」にフォーカスする)
僕が言っているのはあくまで戦略として立てるなら「年齢や趣味なんかはかなり優先度が低いと思いますよ」ということです。
例えば、こんなペルソナを作成したとします。
- 年齢:30台
- 性別:女性
- 業種:コンサルティング会社
- 役職:管理職
- 私生活:2児の母、子育て奮闘中
- 趣味:休日は隙間時間にオンラインゲーム
コンサルティング会社とか、管理職という点は、広告を打ったりするときに活かせそうですが、他の属性情報「30台」「女性」「休日は隙間時間にオンラインゲーム」など。
これ、あなたならどう活かしますか?
BtoBマーケの方でこんな広告を打つ人は少ないかもしれませんが。
わかりやすい例を挙げると、趣味や年齢という属性情報をメインにしたBtoBのペルソナを作り、それに基づいてとあるセミナー集客の広告を打ったとします。
30代・女性管理職の方必見!仕事に活かせる生成Aの使い方セミナー。
うーん、なんか違う感じがしますよね。
「30代・女性」の部分が、何か違和感満載です。
エステサロンとかで「30台女性管理職でお疲れのあなたに、フェイスマッサージ1回無料!」などのキャンペーンなら合うかもしれませんが、BtoBでは年齢や性別なんかよりも役割や仕事の内容にフォーカスした方が、実態に合いそうな感じがしますよね。
ちなみに、僕はBtoBマーケをやり始めた頃、ペルソナに趣味とか良く見るメディアとか色々な属性をかなり具体的に詳しく書いたものを作ったのですが、全く機能しませんでした…
理由はペルソナの属性情報の趣味は何?とか私生活どうしてるの?というものを具体的な施策に落とし込む術が分からなかったからです。(僕はできなかったけど、できる人もいるのかもしれません)
しかし、今ならこういう広告を打つかもしれません。
部下のタスク管理を半分にする。生成AIの使い方セミナー
女性や年齢ではなく、管理職の人が抱えるであろう、部下の管理とその難しさ(思ったように動いてくれない…!)にフォーカスした広告にする、という感じです。
ここまでをまとめると、教科書通りのペルソナを作っても、うまくいかないのは、「会社で働く人」という実態に合ったペルソナになっていないから、ということが原因として大きいのでは?ということです。
BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(社会人はもがきながら仕事をしている)
話を本題に戻します。
BtoBのペルソナについてもっと深掘りして考えてみよう。
会社で働く人の「仮面」とは一体何なのだろうか?
ここであなたに質問です。
あなたにもこんな経験はないだろうか?
- 新人のとき任された仕事でミスをしてしまい、上司に怒られた
- 上司への報告で、説明が冗長になってしまい「結論から話せ」と指摘された
- 会社からやったことが無い仕事をやらされてヒーヒー言いながらやった
- 社長に早くやれと急かされたときに「この仕事もやりながらは無理です」と言った
ここまで書いたようなことは恐らく、仕事をしている人なら、多くの人が経験をしていることだと思います。
そして、僕が何を言いたいのか?
これはあなただけでなく「お客さんも同じ」だということです。
もし、あなたがある日突然、社長から「うちの経理ツールを入れ替えるから、君、先陣を切ってやってみてくれないか?」こんなことを言われたらどう感じるだろうか?
- 経理ツールとかよくわかんないよ…
- え…何から手を付ければいいの…
- わかりませんって言えない…
- 質問したいけどしたら「自分で考えろ」って言われそう…
- とりあえずネットで調べる…
- ただでさえ忙しいのに余計な仕事が増えたよ…
こんな風に思わないだろうか?
しかし、あなたはそのツールを、手探りで、探し始めるだろう。
BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(商材の導入は無間地獄の始まり)
商材を導入検討するための情報収集はそんなに簡単に済むのだろうか?ネット検索しても自分の求める情報が見つからなければ、あなたの仕事は終わらない。これはもはや無間地獄だ。
あなたには本業があるだろう。マーケ、営業、事務、開発、採用、経理、何かしらの本業がある。
あなたにとって「ツール探し」は本業ではない。
だから、本業の傍ら、時間を見つけて情報収集を進めなければならない。
もし、あなたがマーケターなら。
ある日、広告のパフォーマンスが急に落ちたら。
その問題を最優先に解決しなければならないだろう。
もし、あなたが営業なら。
顧客からの問い合わせや商談の予約が入ったら。
顧客対応を最優先にしなければならないだろう。
あなたが本業を優先すればするほど「ツール探し」の仕事はどんどん遅延する。
ここであなたを追い詰める重大な問題がある。「上司の圧」だ。
上司は、なかなか進まないあなたの「ツール探し」についてこう言うだろう。
「あの、件どうなってる?」
あなたはこう答えるだろう。
「すみません…別件が忙しくてまだ手を付けられてません…」
そんなあなたに、上司はこう言うかもしれない。
「ツール探しなんて、パパっと調べられるだろう、なるはやでやれ」
このとき、あなたはどう思う?
「上司の圧…嫌だな…」というプレッシャーと共に「なんで俺がこんなツール探しをやんないといけないんだ!」「俺だって忙しいんだよ、そんな言うなら自分でやってくれよ!」こんな思いがこみ上げるのではないだろうか?
そして、あなたがやっとの思いで「良さそうなツールの情報を集める」という、情報収集を終えたとして。それを上司に報告したら「こんな情報じゃ何も判断できないよ、やり直し」なんて突き返されるかもしれない。
あなたのプレッシャー、苛立ち、無間地獄は終わらない。あなたは苦しみ続けるだろう。
なぜ、苦しむ?あなたの「やらされ仕事」が終わらないからだ。
あなたは、本業と違う仕事を頼まれた。その仕事はあなたが経験したことが無い仕事だった。あなたは、右も左も分からない中で情報を探している。しかし、情報を探したとしても上司や社長、会社が納得する内容でなければやり直しになる。
あなたはこう思うだろう。
- 早く、この仕事終わんねーかな
- この仕事のせいで帰れねーよ
- なんで俺がこんな仕事しなきゃいけねーんだ
- 明日の会議で進捗共有するのやだな…
BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(無間地獄はいつ終わるのか?)
あなたの仕事はどうしたら終わるのだろうか?
あなたの仕事は情報収集だけじゃないのだ。社長や上司が求める「仕事」を完了しなければならない。その仕事とは何だろうか?それは「報告」だ。
なぜ、上司はあなたの情報収集の報告を突き返したのだろうか?
ただ複数のツール情報をエクセルにまとめただけの報告だと、何も判断できないからだ。
社長、上司、会社が求める情報収集の仕事は以下だ。
- 自社に合ったツールの候補を探してくる
- 自社に合ったという選定基準を明確にする
- 選定基準に沿ってツールの情報を揃える
- 会社として投資判断ができる情報を揃える
これらの情報が揃っていないと社長、上司、会社は何も判断できない。
そして、社長、上司、会社はあなたに対して、こう思っているだろう。
- ツール探しの当事者はあなただ
- あなたはどう思う?
社長、上司は「主体性を持て」「責任を持ってやれ」とかいう正論をあなたにぶつけてくる。
でも、あなたは「やらされている」と思っている。
だから「ただ集めてきた情報」だと社長も上司も納得しない。
上司や社長は「あなたの見解を求めてくる」からだ。
あなたに、こんな経験はないだろうか?
- 上司から頼まれた仕事をした
- 報告をしたら「で、君はどう思うの?」と言われた
「ツール探し」でもこれが起こる。
だから、あなたは、社長や上司、会社に必要な判断材料を集めるだけでなく、あなたの見解もセットにして報告をしないと、納得されない。つまり、仕事は終わらないのだ。
もっと、深掘りしよう。
あなたはぶっちゃけ「こんなツール探しなんて、僕はやりたくない」と思っている。
しかし、あなたは社長や上司にそんなことを言えるだろうか?
あなたの仮面は強力な接着剤で張り付いているのだ。
あなたは嫌だな、めんどくさいな、上司に指摘されるのきついな。
そんな気持ちで「情報収集」の仕事を進めるだろう。
と、ここまでのお話は「あなた」のお話だった。
大事なのは、これらのことがあなたの「お客さん」にも起こるということだ。
BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(ヒーローがいれば無間地獄は終わる)
経理ツールをはじめ、BtoBの商材導入の検討は、実担当者からしたら「自分を苦しめる元凶」でしかない。それは、あなたもお客さんも同じだ。
みんな、上司からの圧力に不安と恐怖を感じながら、くそ忙しい自分の本業と平行して、検討のための情報収集を進めているのだ。
しかし、情報収集に苦しむあなたの前に。
もし、あなたの仕事を手伝ってくれる人が現れたら?
- あなたが社内共有すべき情報を的確に提供してくれる
- あなたの報告がスムーズになるようにアドバイスをくれる
- あなたの上司や社長が納得する提案をしてくれる
こんな人が現れたら、あなたはどう思うだろうか?
あなたはきっと「やっとこの仕事が終わる!無間地獄から解放される!」そんな風に思わないだろうか?(あなたの上司や社長は手取り足取り手伝ってはくれないでしょう?)
BtoBのペルソナのドロドロしたリアル(ヒーローはあなただ)
ここからが本題だ。話をあなたの「商材を売る」という話に戻そう。
あなたは、あなたの商材のことも、商材の競合のことも、商材の選び方も知っている。
しかし、お客さんはあなたの商材のことも、商材の競合のことも、商材の選び方も一切知らない。だって、社長や上司に言われて初めてそれを探す立場になったのだから。
何が言いたいか?あなたの出番はここでやってくるのではないだろうか?
あなたが知っている情報は、お客さんが喉から手が出るほど欲しい情報だ。
あなたは、お客さんの仕事を速攻で終わらせることができる。しかも質高く。
あなたがお客さんの仕事を早く、質高く、終わらせることができたら。
お客さんは、情報収集という無間地獄からも、上司の圧からも解放される。
そして、社長や上司が求める情報を、彼らが求める以上のクオリティで報告したら。
その担当者は褒められるだろう。「おおよくこんなにまとめてくれたね!」。
お客さんは最終的にどうなる?
その担当者は、やらされ仕事が終わるだけでなく、上司や社長の圧から解放されるだけでなく「評価される」というお土産がついてくる。
もし、あなたのお客さんの仕事を早く、質高く終わらせることができるサイトやSNSがあったら。商談でそんな提案ができたら。
そのお客さんがあなたの会社に声をかけないわけがない。
あなたの会社の営業に感謝しないわけがない。
そんな風に思わないだろうか?
あなたの広告をクリックするお客さん。
あなたの作った記事を読むお客さん。
あなたとの打ち合わせで目の前に現れたお客さん。
「お客さん」は経理ツール探しを頼まれたあなたと、同じ気持ちになっている。
だから、あなたが作る、広告、SNS投稿、サイト、ページ、記事、パンフレット、資料、メルマガ。あなたが対応する商談でのプレゼン、商材説明、商談後のフォロー、様子伺いのメール。
そのすべては「お客さんの不を解消する」ものでなければならない。
「商材を売る」という話になると、サイトや資料には「私たちの商材はここが強い!」というのを書くし、営業もその話をする。これは絶対に間違っていない。
が、記事を読むお客さんも、打ち合わせに来るお客さんも、それを聞かされるだけじゃ仕事が終わらないのだ。
BtoBのペルソナを再定義する(人間ドラマが無いペルソナは空想になる)
この「BtoBのペルソナ」について、教科書的に書くと、こういうものになる。
BtoBのペルソナは、顧客企業の属性(規模、業種)と、企業に所属する担当者個人の属性(職種、決定権、悩み)を組み合わせて設計する。
商材の購買に関与する担当者(複数いる場合が多い)を想定し、架空の人物像を具体的に描くことで、ニーズに寄り添った施策が可能となり、チーム内の認識統一や、成約率向上を目指す。
これは間違っていない。
が、決定的に抜け落ちているものがある。
それは「顧客の担当者は血の通った、感情豊かな人間である」という事実だ。
だから、教科書的なペルソナを設計してしまうと、本当に実在しない「超優等生な担当者像」になる。
- 顧客担当者は「課題」を抱えている
- 顧客担当者の役職ごとに「課題」の視座が異なる
- 顧客企業、顧客担当者の役職ごとの「課題解決」にフォーカスしよう
僕は、これは「空想のペルソナ」だと思っている。
要は「きれいすぎる」ということ。
「教科書的なペルソナを設計する」と、こういうことが起こる。
- 具体的に設計したんだけど、なんか違和感がある
- ペルソナ設計って本当に頭を使うし、超難しい…
- ペルソナをしっかり設計したけど、現場で役に立ってる気がしない
なぜだろうか?
答えは簡単だ。あなたが「優等生」じゃないからだ。
あなたには、熱心な仕事もある、好きな仕事もある。これは事実だ。でも、やらされてる仕事もある。上司からの圧にプレッシャーを感じることもある。自分としては会社の課題について真剣に考えているつもりだけど、ぶっちゃけ他人事。これも事実だ。
もし、あなたが神様に「あなたは本気で会社の課題解決をしたいのか?」と聞かれたら。
あなたは、何と答えるだろうか?
あなたは、社長や上司の前では「課題解決したいです!」と言うだろう。
でも、心の中では「手を挙げたくねぇ」「自ら率先して動いたら全部やらされる羽目になる」こういうことを思うんじゃないだろうか?
とは言え、決裁者である社長は、少し違うかもしれない。
経営課題が自分の人生に直結するケースもあるからだ(例えば会社が潰れたら全部個人の責任になるなど)。社長という役職は、それだけ責任が重大で、超重圧なのだ。
だから社長は、会社の存続に関わる課題である、売上、コスト、利益、リスク、セキュリティなどの課題を「自分事」として捉えられる。
しかし、そんな社長でも、会社のことも売上のことも本当は、何一つ心配せずにいたい。休日はゆっくり家族と過ごしたい。夜はぐっすり寝たい。晩酌は気持ちよくしたい。そう思っているだろう。社長もあなたも同じではないだろうか?
繰り返そう。
優等生なんていない。
あなたも優等生ではない。
だから、優等生なペルソナを作ろうとすると、違和感がある、作るのが難しい、実際の現場と乖離が大きすぎて機能しない、こんなことが起こるのだ。
よくある「ペルソナを作るときのポイント」に、こんなお話がある。
- ペルソナはあなたの商材の理想的な顧客像をできるだけリアルに設計する(自社にとって都合の良いものにしない)
- あなたの商材を導入してうまくいったお客さんを参考にすると良い(事例という根拠を置く)
これは間違っていないと思う。
が、何度も言うが「きれいすぎる」。
優等生のお客さんなんていないのだ。
BtoBのペルソナを作成する(人間ドラマが大事)
もし、あなたがペルソナ設計の参考に、商材の導入企業さんにインタビューをするなら。
建前ばかり聞いても真実は得られないだろう。
建前しか話してくれないというのが正しいかもしれない。
ならば、むしろ、自分たちの会社で社長、上司、担当者と腹を割って話をした方がよっぽど、リアルなペルソナになるのではないだろうか?(何を言ってもいいルールにしよう)
それじゃあ自社の都合の良いペルソナにならないか?そう思う人もいるだろう。
建前でしか話さなかったらそうなるだろう。だから本音が必要なのだ。
- 社長はなぜ、管理職に指示をするの?社長は本音でどう思ってるの?
- 上司はなぜ、部下に指示をするの?社長と部下の間の板挟みはきつくない?
- 担当者はなぜ、社長や上司に質問しづらいの?指示されたときどう感じてるの?
これは、難しいことかもしれない。
が、むしろ、ペルソナ設計をするときに、そういう社内企画をやってみても良いのではないだろうか?
会社の人は和気あいあいとした友達ではないかもしれない。
が、同じ目的に向かって進む仲間だ。
- 商材が売れれば、会社は豊かになる
- 会社が豊かになれば、あなたも豊かになる
- つまり会社も仲間もあなたも幸せになる
もっと言うと、あなたのマーケティング、営業、商材がお客さんの不を解消できたら。
お客さんも今よりもっと良い会社になり、その会社の人たちももっと幸せになれる。
これは三方良しである。
もし、あなたが既に作ったペルソナを見直すなら。
あなたのお客さんがどんな気持ちで、あなたの商材の広告をクリックし、サイトや記事を見て、問合せしてきて、打合せして、会社に持ち帰って、検討を進めているか?これを想像するところから始めよう。
お客さんは、日曜日の夕方、自宅のリビングで、どんな気持ちでいるか。
「サザエでございまーす!」は、ブルーマンデーの始まりだ。
憂鬱な日曜日、辛いけどいかなきゃならない会社、緊張する営業会議…
こっちの方が、リアルなペルソナではないだろうか?
あなたはあなたの商材に詳しい。
お客さんはあなたの商材のことなんて一切知らない。
あなたは、お客さんに何をしてあげられるだろうか?
あなたが知っていることを、お客さんの立場に立って説明するだけで。
広告もサイトも資料も商談も全部、もっと良いものになるのではないだろうか?
これがBtoBのペルソナの全貌である。
ペルソナのまとめ(顧客の「不」を解消しよう)
ペルソナのお話は以上です。
ここでは、BtoBのお客さんは強烈な「不」を抱えている。
その「不」を解消できるのはあなただけ。
こんなお話をしました。
もし、あなたが目の前のお客さんの「不」を解消することができたら?
お客さんの仕事は終わる。
お客さんの仕事が終わるとどうなるか?
そのお客さん会社では担当者→上司→決裁者の検討が動き出す。
これが次のお話「カスタマージャーニー」です。
実行ステップ④:カスタマージャーニー作成
カスタマージャーニーとは
ここまでのお話で、BtoBのペルソナ、つまり、お客さんは、厚い仮面で本音を隠し、建前を優先し、でも仮面の下では上司からの圧に苦しみ、指摘や叱責で辛い思いをして泣いている。「商材導入の検討」は無間地獄ともいうべき「不」。そしてそのお客さんを救えるのは商材を売っている「あなた」だけ。
こんなお話をしました。
教科書的な優等生のペルソナではなく、BtoB現場のドロドロしたリアルな視点でペルソナを考えると、あなたの商材を売るときに「誰に、何を、してあげればよいのか?」が具体的にイメージができるようになったのではないか?と思います。
しかし、ペルソナを作るだけでは、商材を売る相手のイメージができるようになっただけで、相手の行動までは俯瞰しきれていません。
ここで登場するのがカスタマージャーニーです。
カスタマージャーニーとは、お客さんの商材導入までの購買プロセスを、時系列で考え、
- あなたの商材を売る相手のお客さん(会社)がどのようにしてあなたの商材を知り、興味を持ち、社内で検討を始めるか
- 検討を進めるにあたり、どんな情報を集めるのか?つまり商材の導入をすべきかどうかの経営判断に必要な情報を集める
- 検討が進んだお客さんがあなたの会社に話を聞きに来る、あなたの提案に納得して決裁をする
これらの、お客さんの購買プロセスに対して、あなたが
- どんな広告を打つと良いのかな?
- どんな情報をサイトに置けばいいのかな?
- 問い合わせ後はどんなメッセージを送ればいいのかな?
- 商談ではどんな資料を用意して、どんな話をすればいいのかな?
といった具体的な準備を整理しやすくするためのフレームワークです。
このカスタマージャーニ―について調べていくと、おそらく、こんな情報がたくさん出てくると思います。
顧客の認知~興味関心~情報収集~検討~問合せ~商談~社内検討~稟議~決裁という行動フェーズに合わせ、顧客に必要な情報を提供し、決裁を通すまでの流れを作る。
要は、以下のようなことです。
- 顧客に知ってもらうために何をすべきかを考えて実行する
- 顧客に興味を持ってもらうために何をすべきかを考えて実行する
- 顧客に検討を進めてもらうために何をすべきかを考えて実行する
これらを全部つなげていくと、顧客が決裁するまでの流れが出来上がる。
逆に顧客のこれらの行動が途切れると決裁までたどり着かない=売れない。
というお話です。
どうでしょうか?「ふーん」って感じですよね。
BtoBのジャーニーはどのように進むのか?(あなたの会社はどう進む?)
ここでまた、あなたに質問があります。
あなたの会社で新しいツールを導入することになったとします。
このとき、社内ではどのような動きがありますか?
おそらく社内の人たちはこんな動き方をするのではないでしょうか?
- 社長や上司が社内会議などで「このツールを導入しないか?」と言い出す
- 社内会議で反対意見がなければ一回、ツールの導入検討を進めようという話になる
- ツールの導入検討のために仕切り役や実行役を決めることになり、役割分担をする
- 取り仕切るのはXさん、情報収集は部下のYさんなどなど
- 各自割り振られたタスクを実行する、情報収集から始まる
- 集めた情報をもとに本当に効果があるのか?を検討する
- 検討にあたってツールの類似製品の情報を集める
- 社内の不都合や非効率が解消されるかどうか?が吟味される
- コストはいくらでどのような効果が見込めるか?が検討される
- それらがクリアになりそうならツールの選定候補を絞る
- ツールの選定では機能や性能、コストなどで比較する
- これらの過程で資料をダウンロードしたり、問合せや商談をする
- 集めた情報をもとに最終候補を絞る
- そのツールを導入した後の検討がなされる、運用フローの整理など
- 社内で納得のいく検討を行い、最終的に決裁者が判断する
この時、あなたの会社は、顧客の認知~興味関心~情報収集~検討~問合せ~商談~社内検討~稟議~決裁という行動フェーズを辿りますよね。
僕が書いた商材導入のプロセスはそんなに間違っていないと思います。
しかし、これもペルソナの時のお話と同じで、違和感があります。
「きれいすぎる」
BtoB商材の導入検討は困難の連続だ
ここであなたに追加で質問です。
あなたの会社のツール導入は、スムーズに、何の問題も起こらずに進むのでしょうか?
確かに、商材の導入というお話は、情報収集して、検討して、比較して、さらに検討して、稟議を上げて、決裁を通す、という一連の流れを辿るはずなのですが、この過程には、カオスともいうべき色々な困難や不都合、面倒くささがたくさん起こっているはずです。
例えば、あなたの会社が経理で使っているシステムを別のものに乗り換えるとします。
このときあなたの会社ではどんな「仕事」が発生するでしょうか?
こんな感じではないでしょうか?
- 自社がこれまでやってきた経理業務の運用フローを洗い出す
- これまでやってきたこととこれからやろうとしていることのBeforeAfterを整理する
- 何が無駄で、何が効率化されるのか、運用担当者の作業はどう変わるのか?
- 入れ替えた後問題は起きないのか?スムーズな運用をするためにどうすればいいか?
パッと思いつくだけでも、色々出てきますね。
しかも、今までやっていた業務を洗い出すなんて、ものすごく大変そうです。
マニュアルはあるけど、担当者の人が独自でマニュアルを作っていて、形骸化してしまっているなどなど。こういうのも含めてほじくり出すわけですね。
しかも、誰かプロジェクトのまとめ役を立てて実行に移すみたいなことになるわけですが、ここで超重要な問題が。「普段やっている業務もある」。
これがどんなことを意味するのか?
くそ忙しいのにさらに忙しい…
要はたかが「ツール1つでも」、人が動き、仕事が発生する。スムーズにことが進むように交通整理をしながら進める。たとえ、社長が絶対ツールを入れようとしていても現場の負担が高すぎれば、反発もあるかもしれない。
BtoBの現場には「人間ドラマ」があるのです。
経理ツールを入れ替えるのはプライベートで言えば、「家を引っ越す」くらい、わちゃわちゃしたあわただしさがその会社さんに起こるわけです。
ワンルームマンションの引っ越しなら一日で済みますが、20LDKの大豪邸では一日じゃ終わらないですよね。きっと。
商材の導入検討についてもう少し、具体的にリアルに考えてみたいと思います。
例えば「経理ツールの導入検討」だと以下のようなことが起こるのではないかと思います。
- 全社会議で社長が「このツールを入れたいんだけどどう思う?」と社員のみんなに聞いても、ピンと来ておらず、誰も良いとも悪いとも言わない(みんなどこか他人事、社長との温度差満載)
- 最終的に多数決をとると手を挙げる人が多いので、検討を進めることになるが、社長が部下の管理職に「君に任せたい」と話をふると、なんか嫌な顔をする(管理職は自分の仕事が増えるだけ、でもやらないといけないと思っている)
- 社内では、ツール導入の検討を進めることになったが、現場では、全然話が進んでいる様子がなく、社長がしびれをきらして「あれどうなってる?」と聞くと、「すみません、仕事が忙して手が付けられてません」と返ってくる(みんな本業の傍らツールの情報収集を進めている)
- その後も一向に現場で動いている様子が無いので、社長が管理職に発破をかけ続けたら、ようやく動き出した(現場は新しいことに取り組むことに腰が重い)
- 検討を進めるために管理職が色々整理をして、部下の担当者に情報収集を任せたが、目的を理解せずに進めてしまって手戻りが発生する(部下は「自分で考える」ことに不安があるから「指示されたこと」をその通りにやろうとする)
- 管理職と部下の間では「なんでこんなこともできないんだ!」とげき詰めが発生、社長と管理職の間では「もっとスピード感持ってやれ!」とげき詰めが発生(役職間の衝突と摩擦)
- しまいには管理職が社長に対して「今のうちの現場状況から、このツールの導入は現実的ではありません、無理です」と言ってきた(現場は、会社の課題解決よりも現状維持を選ぼうとする)
- 社長は、おいおいこのツールを導入したら「コストがこんだけ削減できるんだぞ!」「なんでみんなやろうって言ってくれないんだ!」(社長と現場の温度差が再度露呈)
BtoBカスタマージャーニーはきれいには進まない
何が言いたいのか?
カスタマージャーニーはきれいには進まない。
以下のような理由があるから。
- 会社の課題解決はそれが自分事化できる人しか本気で取り組もうと思わないから(社長や決裁者)
- ほとんどの人にとって「新しいことをやる」は不安、面倒のかたまりでしかないから(管理職や担当者)
- 結果的に、たとえ、その商材がお客さんの会社にとって合理的なものであったとしても、現場が詰まれば、検討は止まる
- 逆に、社長や決裁者に「これは必要だ!」と思わせなければ、いくら広告を出しても認知はされるがその先の検討には進まない
で、ここからが本題です。
教科書的なカスタマージャーニーは「顧客を進ませよう」とします。
これは正しいのですが「きれいすぎる」。
BtoBカスタマージャーニーは進ませるのではなく、止まらないようにする
僕はカスタマージャーニーは「顧客が止まらなくて済むようにしよう」という前提に立った方が、実態に合ったものになるのではないかと思います。
なぜなら、会社は感情を持った人間の集まりだからです。
- 社長は社長の「これをやりたい」を通したがる(経営課題は人生に影響を与える)
- 管理職は管理職の「これはやりたくない」を通したがる(仕事が増えると負担だけ増える)
- 社員は社員の「言われたことを言われた通り」にやろうとする(レールから外れるのは怖い)
みんな「本音」が違う。同じ方向に向いていない。だから。止まるのです。
社長が「これは絶対うちに必要だ!」と正論を言っても、管理職が自分の仕事を優先したら止まる。社員が目的を理解しないまま進めたら止まる。
この「止まる」原因を明確にし、止まらないように戦略を具体化する。
これがカスタマージャーニーを作る理由です。
カスタマーサクセスは広告をクリックしたときから始まっている
世の中には「カスタマーサクセス」なんて言葉がある。
これは商材を導入した「後」のお客さんを成功させるという意味合いで使われている。
が、僕は思う。
お客さんはあなたの商材の広告をクリックしたそのときから「カスタマーサクセス」は始まっているのだと。
なぜかって?
お客さんは、あなたの商材を見つける前から既に困っているからだ。
あなたの商材が売上を伸ばすための何かだとしたら。
その商材を買うかもしれない会社の社長さんはこう思っているかもしれない。
- 売上が伸びない、このままじゃ会社がやばい、俺の人生は終わる
- 売上を伸ばさないといけない、うちの会社もこれをやらないといけない気がする
- とりあえず、やるかやらないか判断しよう
社長は社員の前でこう発言するだろう。
- 社員のみんな、うちもこういう取り組みをした方がいいかもしれない
- そこでこんな記事や情報を得たんだが、みんなはどう思う?
- 一回、やるかやらないかを検討してみたいんだがいいかな?
- よし、じゃあとりあえず情報収集から始めるか
- では、A君、これに関する情報を集めてみてくれないか
これが、あなたの商材を知る前から起きているお客さんの「困った」だ。
あなたはどう思う?
「顧客が止まる理由」に寄り添ってカスタマージャーニーを考える
では「カスタマージャーニーが止まらないようにする」という観点でジャーニーを考えてみよう。たとえば、ここでも経理ツールを例に挙げよう。
例えば「認知フェーズ」。
社長は経理作業の非効率が人件費の無駄につながっていることを強く意識している。コストの無駄使いは、利益を減らす。利益を減らす穴は小さい内にふさぎたい。利益が減る、利益がなくなる、マイナスになる。会社が存続できなくなる。会社潰れる。自分で責任を負うことになる。絶対に避けたい。
こんな社長に対して「このツールはいいツールです!」と言っても「それで?」で終わる。だから、経理ツールを導入したら「こんな作業がこれだけ減って、コストがどれだけ削減できて」といった話の方が響くはず。
となると、「経理ツールの導入で経理作業の時間が50%削減された事例」記事などは、見られるかもしれない。
例えば「情報収集フェーズ」。
社長や決裁者が「このツールは導入検討の価値あり」と判断した場合、全社会議で社長から「このツール入れてみないか?」という話につながる。そして、実行部隊が編成される。
このとき実行部隊に任命された担当者は、寝耳に水状態になる。「え、それ、俺がやるの?勘弁してよー、ただでさえ忙しいのに」。でも、担当者はそんな本音を社長には言えない。だからしぶしぶやる。
情報収集を任された人が正解の無い話に慣れていない場合、無間地獄の始まりだ。
「やったことがない、分からない、上司に聞けない、急かされる、できない、助けて!」
右も左も分からない人に情報収集をさせたらどうなるか?
あなたは、スムーズに進むと思う?進まないだろう。
こんなとき、その担当者がネット検索して「おすすめの経理ツール5選」とか言う記事が出てきて、その記事がツールの羅列ではなく、具体的にどの会社向けのものなのか?各ツールで具体的に何が違うのか?それぞれのツールの比較表のひな形、選定ポイントのまとめ、上司への報告書のひな形まで書かれていたら。情報収集は一瞬で終わる。
続いて、その後の検討フェーズ。
もし、情報収集の担当者が早く、質高く、情報収集と社内報告を終えたら。
上司や社長は検討しやすくなる。つまり、カスタマージャーニーは先に進む。
こんな感じでカスタマージャーニーを設計すればいいのではないかと思う。
大事なことはこれだ。
お客さんの決裁者も担当者もそれぞれ「困っている」「苦しんでいる」。
- 売上をあげないとやばい…この超重圧の中にいる社長さん
- 社長命令だよ、ちゃんとやらないと詰められる…情報収集という仕事を突然任されたA君
もし、このとき。
A君がネットで情報収集したとしたら。
この検索結果にあなたの検索広告が現れたら。
A君は、こう思うのではないか?
「あ、これ、俺が探すべき情報が載ってるんじゃないか?」
もし、あなたの広告の遷移先ページにA君が探している情報がすべて揃っていたら。
A君はこう思うのではないだろうか?
これで俺の情報収集は終わるかもしれない。
上司の報告もすぐにできそうだ。詰められなくて済む…!
BtoBのマーケティング戦略は「お客さんを定時で帰らせよう」
何度も言おう。
お客さんはあなたの商材を買う前から既に困っている。
だから、あなたの広告ひとつでお客さんの状況は変わるかもしれない。
僕が何を言いたいか?
お客さんのリアルから目を背けたままじゃいい仕事はできない。
これは、集客を担当するマーケだけでなく、営業もそうだと思う。
A君が、あなたの会社の営業マンと打ち合わせをしたら。
A君は、あたなの商談で聞いた内容を持ち帰り、整理し、社長や上司に報告するだろう。
そのときのA君は何を考えている?
情報整理?そうだ。しかし、それは建前だ。
本音はこうだ。
- 社長や上司から急に振られた情報収集、早くやれという圧がすごい…
- 情報収集のせいで俺のやるべき仕事が滞っている
- これもまた上から何か言われるかもしれない…
だから営業マンの仕事は商談で商材の説明をするだけじゃダメだ。
目の前のお客さんがその打ち合わせに来たときの心情を察して、商談後にどんな気持ちで社内に仕事を持ち帰るのか。そして何をしたらその人の仕事が終わるのか。これを考えて取り組んだ方が良い仕事になる。
そして大事なこと。
A君がきちんと情報収集を終えて、なおかつ、あなたの商材について上司や決裁者がこれいいな。となったら。それはお客さんの検討が進むということを意味する。
そして、あなたが、上司の仕事を片づけたら?
あなたが、社長の仕事を片づけたら?
「売上・受注」はそのときに作られる。
BtoBマーケティングのカスタマージャーニー戦略はただ1つ。
「目の前の顧客担当者の仕事を最速で片付けろ」。
難しい話は一切ない。
あなたが知っていることを、全部お客さんに、分かりやすく教えてあげよう。
お客さんが社内で仕事しやすいように、フォローしてあげよう。
それを広告、サイト、資料、商談、すべてのフェーズでやってあげよう。
それがBtoBマーケティングである。
BtoBマーケティングには「ドロドロした人間ドラマ」がある
僕は、BtoBマーケティングを、単なる理論の応用や仕組み化、数字による管理といった無機質なものではなく、お客さん、マーケ、営業、すべての人が「血の通った感情豊かな人間」「商売はその人間同士の助け合い」だ。
そんなスタンスでBtoBマーケ研修の講師をやっています。
もし、僕の考えが少しでも役に立ったなら。
よかったら研修のページを見てもらえると嬉しいです。
「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://susume.business/lp/btob-web-marketing/
理論だけでは、きっと壁にぶつかる。
現場だけではきっと壁にぶつかる。
もちろん両方やっても壁にぶつかることはあるし、うまくいかないこともある。
しかし、これだけは言えると思っています。
BtoBマーケティングはお客さんにものを買わせるためにあるのではない。
お客さんの「困った」を解決するためにあるのだ、と。
そしてそのお客さんの「困った」は、商材を買うずっと前から始まっているんだ、と。
少し熱くなりすぎて言葉使いがおかしいところがあったかもしれません。
僕も皆さんと同じようにもがき苦しみながら前に進むBtoBマーケター・セールスです。
まだまだ未熟者ですが、僕が現場で感じたこと、苦しんだこと、これはおかしいんじゃないか!と思うこと。これを「自分の言葉」で伝えたいと考えています。
もし、僕の考え方に共感いただけたら、ぜひ、僕の研修の紹介ページを見ていただけると嬉しいです!
皆さんのお役に立てるはずです。
ぜひ、一緒に、より良い未来を作っていきましょう!
なお、僕の研修は動画研修+フォローMTGで「第1章は会員登録で無料受講」できます。
よかったら以下のリンクから第1章を見てみてください。
【動画研修受講ページ】「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://member.susume.business/study/curriculum/22
最近Xも始めました!
お気軽にフォローしてください!
Xアカウント:空閑 由次(SUSUME講師)
https://x.com/kj_3939
