BtoBマーケティングの戦略が成果につながらない理由。営業に無視される「絵に描いた餅の戦略」を脱する現場視点とは?
こんにちは!
SUSUMEでBtoBマーケティングの研修講師をしている空閑(くが)です!
BtoBマーケティングの戦略設計に関する「理論」には色々なものがありますよね。
SWOT、STP、ペルソナ、カスタマージャーニー、バリュープロポジション…などなど
これらの「理論」は「やみくもに手を動かす」ことを避け、地に足を付けて物事を考えるフレームワークとしては非常に優れています。
つまり、戦略的・計画的に物事を考えられるという点では、役に立つノウハウといったところでしょう。
マーケターという職業は「1対多」を相手にすることが非常に多い職業ですので、これらのフレームワークに触れたり、勉強したり、使ってみたりしたことがある人は少なくないのではないかと思います。
しかし、めちゃくちゃ努力をして作った「戦略」でも、会社の組織内でうまく機能しなければやはりそれはただの「無駄」なのです。
目次
なぜマーケターの努力は営業に無視されるのか?
マーケターの皆さん。突然ですが質問です。
死ぬほど頭を悩ませて戦略を作っても、実際はこういうことが起きてませんか??
「営業はあなたの戦略に無関心」。
もっと具体的に言うと、マーケターはSWOTやらSTPやらペルソナやらジャーニーやらを作って「戦略的に」ことを運ぼうとするが、営業は無関心。
理論は完璧なのに、なぜか機能しない。「戦略会議と実行後」の一コマ
具体的には次のような感じです。
とある企業の、とある商材の「戦略会議」の一コマ。
社長:
よし、俺たちもしっかりと戦略を立てて、ターゲットを決めて、商材の強みと差別化要因を明確にして、やっていこう!
マーケター:
そうですね!SWOT分析やSTP分析、ペルソナやカスタマージャーニーを、作ってみます!
数日後。
マーケター:
社長!SWOT分析やSTP分析、ペルソナやカスタマージャーニーを作ってみました!どうでしょう??この方向性で広告やサイト、資料をいい感じにしていこうと思います!
社長:
ええやないか!これ、絶対いけるぞ!頼むね!
マーケターは一生懸命「戦略」を考える。
立てた戦略に則って広告やサイト、資料の内容を調整する。その結果。
- リードは少し取れるようになった
- 商談も少し増えてきた
でも…。ある時、営業からこんなことを言われた。
営業:
あのさぁ、さっきの商談でお客さんから「資料のここが分かりづらい」って言われたんだけど、直せる?
このお客さん、サイトに書いてあるこの情報を見て、問い合わせてきたらしいんだけど、これ、実際とちょっと違う気がするんだよね?
マーケター:
ファッ!?
マーケターの怒り「先に言えよ!」が発生するメカニズム
一生懸命考えて、社内調整して、実行にまでこぎつけたマーケターの戦略。
営業からの「ここ直してよ!」の軽い一言に、マーケターのあなたは怒りにも似た感情を覚えるのではないでしょうか。
マーケター:
おいおい、俺が「戦略立てるよ!」って言ったとき、あなた何も言ってこなかったよね?
実行に移す前に「戦略はこれでいいですか?」って聞いたとき、あなた「いいと思います」って返事してきたよね?
いやいや、そういうのは先に言えよ!俺がどんだけ調査や情報収集、整理、体系化、作成に時間と労力をかけたと思っているんだ!
ざっとこんな感じです。
こんなこと、身に覚えありませんか?
決定的な「分断」の正体――お客さんを「記号」で見ていませんか?
で、ここからが本題です。
結論、「戦略」って完璧じゃないんですよ。
マーケターのあなたはこう思っているはずです。
「戦略、設計図を作れば商材は売れるはずだ」って。
でも、営業はそう思っていない。営業はこう思っている。
「そんなきれいに物事が進む訳が無い」って。
マーケターは「仕組み」に関心があり、営業は「売れる方法」に関心がある
なぜでしょうか?
マーケターと営業って、目的「売上・受注」は同じはずなんですが、関心事が全く違うんですよね。
具体的に書くと、マーケターって「仕組みを作る」ことに関心があるんだけど、営業は「売れる方法」に関心があるんです。
もっと言うと、こんな違いがあるんです。
- マーケター:お客さんを「記号」「仮説」で見ている
- 営業 :お客さんを「人」「リアル」で見ている
理論や設計図が、現場では「絵に描いた餅」になってしまう理由
これ、どういうことかと言うと。
- マーケターが持ってきた「理論」「設計」「仕組み」には、「人」「リアル」が一切加味されていない
- 営業は「理論」「設計」「仕組み」がその通りに動かないことを、経験・無意識レベルで理解している
要するに営業からすると「理論」「設計」「仕組み」ってただの絵に描いた餅なんですよね。言葉を選ばずに言うとただの「きれいごと」です。
マーケターがどや顔で理論を語っても。
営業からしたら「それで俺の受注は取れるの?」って絶対に思う。
で、「受注に直結しない理論」なんか知っても意味がない。
だから、どういう理論が上がってきても自分には関係ない。
なので、悲しいけど。
マーケターの理論や戦略について、営業はそれを使って本気で頑張ろうなんて1ミリも思わない。
だって、それをやったところで、実際のお客さんを納得させることはできないし、受注は取れないから。非常にシンプルな理由がある。
むしろ。営業からしたらそんな大層な戦略よりも、お客さんの稟議を動かせる「社内プレゼン資料」の方がはるかに重要だ。
で、ここからが問題。
マーケターはこう思っている。
- 俺は戦略を立てて実行して、人を集めるのが仕事だ
- 集めた後は営業さん、頑張ってくださいよ
これじゃあダメだ。
もちろん、理論も戦略も立てないより立てた方がいい。
人を集めることに一生懸命なのも全然悪くない。(目標を立てて動くのは素晴らしい!)
しかし。理論も戦略もそれ自体の価値は、「物事を計画的に実行できる」ところにしかない。そして、それ以上、それ以下でもない。本当にただそれだけ。
で、このマーケターと営業の溝がなんで生まれるのか?ここが大事。
答えはこう。
- マーケターは「リアルな顧客」を一切見ず「数字」だけ見る
- 営業は「リアルな顧客」だけ見て「集客」を意識しない
これに尽きる。
営業が本当に求めているのは、分析結果ではなく「受注できる武器」
これはつまり。マーケターが作った「きれいな」戦略は、営業にとっての「武器」になっていないってことなんですね。
営業が欲しいのは、SWOTとかの分析結果ではない。
自分の「受注が達成できる具体的な方法」だ。
つまり、戦略を立てるなら。
マーケだけでなく、営業も巻き込まないと機能しない。
そして、これがBtoBマーケティングで最も難しいテーマだと思う。
理由は、先に書いたように。
- 営業は「受注」「売上」にしか興味がないから
- マーケは「戦略」「集客」にしか興味がないから
「THE MODEL」に代表される分業体制の落とし穴――効率化・仕組み化は「売る側の都合」でしかない
で、BtoBマーケティング界隈では「THE MODEL」に代表されるような、分業モデルの話が多く出回っています。マーケ、インサイドセールス、フィールドセールスみたいなやつです。
これはこれで、営業とマーケの組織を分業体制にすることで「効率化する」「再現性のある仕組みを作る」という観点ではいいのだけど。「効率化」「仕組み化」ばかりに焦点が当たってしまっている。ここは冷静に考えた方がいい。
分業モデルは「リアルな顧客」を見えづらくする場合がある
でもさ。そもそも論だけど「効率化」「仕組み化」って売る側の都合だよね?
僕たちが商材を買って欲しい人って誰だっけ?「お客さん」じゃない?
今回の話でいくと。
- マーケって「お客さん」を見てる?
- お客さんを数字とか集合みたいな「記号」で見てない?
ってことですね。
こんな言い方をするとマーケが悪いみたいな言い方に聞こえるかもしれませんが、僕は営業だけを擁護するつもりはないです。
だって。営業もマーケターと同じ目的「売上・受注」があるのだから、集客の重要性にも関心を持つべきだと思う。
しかし、そのうえで。
この記事のテーマ「営業に無視される、絵に描いた餅の戦略」に焦点を当てるなら。
BtoBのマーケターにはこう言いたいね。「商談に出てみなよ!」って。
広告をクリックするのも商談に来るのも、すべては「人間」である
だって。
大層な戦略、キャッチーな広告で集めた「リード」って、最終的に商談に来るよね?
しかも。商談に来たお客さんって「記号」だっけ?
「人間」だよね。
つまりさ。
戦略を立てるときから、お客さんを記号でしか見ていない。
だから営業に無視される。
僕は、巷に溢れる「お客さんを、記号で捉えてしまうBtoBマーケティングの考え方」は、本当にいいのだろうか?と思っている。
僕は、マーケも営業も「リアルなお客さん」を大事にすべきだと思う。
だって、例えば。戦略に従って出した広告があるとして。
この時のカスタマージャーニーってこうなるじゃん?
広告→LP→問合せ→商談→受注。
- 広告をクリックするのも
- LPをじっくり見るのも
- 問い合わせフォームを送信するのも
- 商談の予約をして参加するのも
- 最後発注してくれるのも
全部「人間」だぜ?
今日からできる!戦略を「現場の武器」に変える3つのステップ
ステップ①:まずは「商談」に出て、顧客の本当の姿を知る
お客さんを「人間」として見るのを忘れてしまった戦略はただの絵に描いた餅。
だから、マーケターは自動化とか仕組み化とかそういう無機質で冷たい考え方は捨てて。
実際にお客さんと話した方がいい。
営業の商談に同席させてもらうとか、何なら自分で商談をやってもいい。
だって。マーケターが集めてきたお客さんの本当の姿は「商談でしか分からない」のだから。
実際にお客さんの生の声を聞いたら分かるよ。
その理論や設計が正しいのかどうか?がね。
ステップ②:忙しいマーケターのための「生成AI(NotebookLM等)」活用術
とはいえ、マーケターも忙しい。
戦略を作ったり資料を作ったりって本当に頭脳労働だよ。本当に大変だ。
それでさらに商談に出ろなんて無茶な話かもしれないね。
だから。こうしよう。
- 商談やお客さんを一切意識しないのは辞めよう
- 商談は営業に頼んでオンラインなら録画を共有してもらおう
- 録画ならNotebookLMとかに読ませよう(生成AIに読ませるときは機密情報の管理は徹底しよう)
- 生成AIに「この商談の背景・目的・BANTを教えてよ!」と指示しよう
- 生成AIは間違ったことを言ってくるかもしれないからその後、営業とちゃんと会話しよう
ステップ③:営業との会話を「効果測定」と「改善ヒント」の参考材料にする
営業との会話はこれでいい。
- このお客さんって体感的にどうですか?
- この部分ってどういう話が出ました? など
マーケターは営業との会話を集客成果の効果測定、集客の改善ヒント、商談化率の改善、なんなら受注率の改善のために活かす、という発想で営業と会話しよう。
これならすぐにできる。
まずは、「リアルのお客さん、商談に目を向ける」。
ここから始めるだけでもきっと色々な気付きがあるはず。
あと、営業もマーケターが率先して現場の状況に関心を持ってくれたら、協力してくれるはず。これが一番大事。だって営業もマーケも目的は「受注・売上」なのだから。
事例:元製薬会社MRのマーケターが作る「泥臭い」パンフレットの凄み
余談。そういや。最近、こんな話があった。
僕の友人で、長らく製薬会社でMR(製薬会社の営業さん=Medical Representative)をやっていた友人がいるんだけど。彼は今、MRからマーケター職に変わったそうだ。
僕が彼に「普段どんな仕事してるの?」って聞いたら、彼は「薬のパンフレットをめっちゃ作る」って言っていた。
で、彼曰く、パンフレットを作るときに一番大事にしていることは以下だって。
- 薬を売る相手はお医者さん、お医者さんは本当に忙しい
- この忙しいお医者さんに何とか少しでも話を聞いてもらおうとMRは日々奮闘している
- 「忙しい」お医者さんは営業の長話を聞いている暇なんてない
- だからパンフレットには3つでいいから「これだけ伝えて」を特に重要視する
彼もMRとして何年も泥臭い営業をしてきたのだとか。
MR時代は、お医者さんになんとか振り向いてもらおうと趣味を聞き出したり、興味のある時事ネタを集めたり、とにかく色々やったと。
そんな泥臭い営業現場の経験が今。
彼が作るパンフレットには宿っている。
真の戦略とは「現場で武器として機能するもの」だけを指す
僕は製薬会社の営業もマーケも経験はしたことが無い。
けれど、この話を聞いた時、ものすごく腑に落ちたよ。
だって、戦略が形になったものがパンフレットで、そこに「死ぬほど忙しいお医者さん」「泥水をすする営業マン」この2者のリアルが反映されているのだから。
この彼の話を聞いて「真の戦略とは、現場で武器として機能するものだけを指す」。
そんな風に思ったね。
もし、戦略は立てたけど、なんか営業の関心が低いな。
なんて思ったら、ぜひ、あなたから営業に声をかけてみてください。
「このお客さん、どんな人たちでした?」って。
この記事がマーケターの戦略に+になったら嬉しいです。
まとめ:理論を越え「リアルなお客さん」に向き合うBtoBマーケティングへ
僕は、BtoBマーケティングを「リアルなお客さん」に置いて取り組む。
そんなスタンスでBtoBマーケ研修の講師をやっています。
もし、僕の考えが少しでも役に立ったなら。
よかったら研修のページを見てもらえると嬉しいです。
「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://susume.business/lp/btob-web-marketing/
「理論だけじゃ、うまくいかないよな??」と思い始めたマーケターの方にとって、きっとお役に立てるはずです。
なお、この研修は動画研修+フォローMTGで「第1章は会員登録で無料受講」できます。
よかったら以下のリンクから第1章を見てみてください。
【動画研修受講ページ】「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://member.susume.business/study/curriculum/22
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