BtoBマーケターと営業へ。商談記録は宝の山だ。BANTをWeb集客に活かせ。
こんにちは!
SUSUMEでBtoBマーケティングの研修講師をしている空閑(くが)です!
BtoBの営業・マーケ担当者の方で、こんな状況はありませんか?
- 営業は商談記録を書いているが、マーケには共有されていない
- マーケはWebのデータばかり見て、商談の中身を知らない
- リード数を追っているのに、商談の質が上がらない
営業の方に聞きます。
あなたの商談記録、案件管理だけに使っていませんか?
マーケの方に聞きます。
次にどんな記事を書けば良いか、Webのデータだけで判断していませんか?
どちらも、もったいないです。
あなたのお客さんの本当の姿・声はWebのデータには映りません。
商談の中にあります。 そしてその商談記録こそが、Web集客の質を決める最大のヒントになります。
この記事では、商談記録をWeb集客に活かすための考え方と「BANT」の使い方を解説します。
目次
なぜ「商談記録・顧客の声」を共有する必要があるのか?
はじめに:商談記録の共有は簡単な話じゃない。
先にお伝えしておきます。
理由は後述しますが、BtoBのWebマーケティングにおいて、おそらく、この「商談記録の共有」という、商談を担当する営業と集客を担うマーケの連携の仕組みを作り、機能させることが実務上、最も難しい部分ではないかと思っています。
しかし、営業とマーケの連携はWeb集客の生き死にを決定づける重要なお話なので、どうか、お付き合いください。
まずは、BANTの概要とおさらいから。
では、まずは、BANTの概要についておさらいと、そもそもの使い道をお話します。
「BANT」は営業が商談した「顧客の質」を測るためのフレームワークです。
このフレームワークでは営業が商談した顧客について「その顧客を追うべきか、そうでないか(自社にとって良い顧客か、そうでないか)」を測る判断基準を4つ設けています。
- 商談内容・顧客の声の共有の型「BANT」
- Budget (予算): 顧客が導入にかけられる予算。上限や確保状況。
- Authority (決裁権): 最終決定権を持つ人物や、社内決裁ルート。
- Needs (必要性): 顧客の背景、課題、導入目的、自社で解決できるか。
- Timeframe (導入時期): 具体的なスケジュールや導入の時期
Web集客における商談記録の価値
Web経由の問合せなどで獲得した見込み顧客はやがて、営業との商談に移行します。
このとき、営業が商談を行った顧客の「予算、決裁権、必要性、導入時期」を把握することで、営業がその顧客を追うべきか?という案件の質を測れるだけでなく「Web集客した顧客の質が良いのか?悪いのか?」を具体的に知れるようになります。
「Webマーケティングの成果」はPV数やCV数等の数字で測ることができますし、Web解析の重要性を説くお話が世の中にはたくさんありますが、BtoBでは、数字だけでは分からないことが多々あります。それはどんな顧客を集客できたのか?です。
これを知るには商談記録を見る以外に方法はありません。
なので、営業による商談記録は、Web集客の成果測定という観点でも、非常に重要な情報源であるという意識を持っておきましょう。
BANTのそもそもの使い道(活用例)
では、このBANTについて、もう少し分かりやすく説明します。
具体例を挙げます。
例えば、あなたの会社の商材が「顧客の年間の受注単価が100万を超えないと、会社の利益と見合わない」とします。
この時、営業が商談した顧客A社が次のような顧客だったとします。
A社との商談結果:
- 予算感 :年間30万円以下だった
- 決裁権 :代表取締役との商談だった
- 要望 :自社の商材でカバーできない部分が半分以上あることが分かった
- 導入時期:3か月以内だった
これは極端な例ですが、いったん、シンプルに考えます。
あなたの会社は年間の受注単価が100万以上無いと利益に見合わない可能性があります。
すると、この顧客A社の予算感は30万円であるため、明らかに受注単価の低い顧客です。
加えて、要望も自社の商材でカバーできない部分が半分以上あるため、商材とのミスマッチが起きている状態とも言えます。
このとき、営業が、同時期に、次のような顧客B社とも商談していたとします。
B社の商談結果:
- 予算感 :年間300万以上だった
- 決裁権 :課長との商談だった(社内稟議があり最終決裁は代表取締役)
- 要望 :要望はある程度、自社の商材でカバーできることが分かった
- 導入時期:6か月以内
B社の場合、予算感はあなたの会社の基準を十分に満たしています。
決済権は、商談した担当者自身にはありませんが、B社の稟議プロセスや最終決裁者が誰かはわかっています。
このとき、あなたが営業ならA社とB社、どちらを優先しますか?
迷わずB社を優先するでしょう。
理由は明白です。
A社は顧客になり得る可能性が低い。
→予算感と要望がミスマッチを起こしているから。
B社は顧客になり得る可能性が高い。
→予算感、要望、導入時期がマッチしているから。(あとは、いかに最終決裁者を引きずりだすか?稟議プロセスを掌握するか、が営業課題になる)
と、これがBANTの概要と本来の使い道です。
で、この記事では、営業とWebマーケティングを一本の線でつなぐときの「商談記録・顧客の声の共有の型」に、この「BANT」を活用します。
商談記録がWebマーケティングに必要な3つの理由
先ほど「営業の商談記録は、Web集客の成果測定という観点でも、非常に重要な情報源である」というお話をしました。
これはこれで、BANTを使う大きな理由ですが、実はBtoBのWebマーケティングにおいて「商談記録に価値がある」もっと大事な理由が3つあります。
理由①:「顧客の実態・生の声」は営業にしか分からないから。
BtoBビジネスはWebだけで目的「売上・受注」を達成することはできない。
- 目的達成「売上・受注」の前には必ず営業による顧客との商談がある
- 商談に来てくれた顧客こそがWebで集客した「顧客の実態」である
- 商談に来てくれるような顧客を集めることがWebの最大の使命である(最終目的は「受注・売上」)
理由②:Web活用の本質は営業の「1対1」の提案を「1対100」に拡張することだから。
- 営業が相手にする1社の顧客の背後には、似た悩みを持つ会社が100社いる
- Webは営業の提案を未だ見ぬ100社に届けるための拡声器である
- 営業が顧客から聞いた課題とそれに対する営業の提案は未だ見ぬ100社にも役立つ
- それらの課題解決策をWebに反映させることがWebの集客力を高める唯一の方法となる
理由③:顧客が求めるものはただ一つ「課題の解決策(提案)」だから。
- 理由もなく顧客が検索エンジンや生成AIで情報収集することはない
- 顧客は悩み、課題があって初めて「解決策」という情報を探すのである
- 営業が商談で顧客と繰り広げるのは課題のヒアリングと解決策の提案である
- 目の前の1社の背後にいる未だ見ぬ100社の顧客はその課題の解決策を知りたがっている
つまり、お客様がどんな考えを持っているのか?何をしたいのか?を、具体的に知る方法は、自ら商談に参加して聞くか、営業に商談の内容を共有してもらうかのどちらかしかないということです。
商談記録にはWeb集客のヒントがたくさんある。
顧客に刺さる記事は誰が書けるのか?
ここで質問です。
あなたが、Webにお役立ち記事を作るとしたら、どんな情報を発信しますか?
ネット検索や生成AIのチャットから得た情報を参考にして、記事を作り、発信しますか?
実際の実務ではそういう手法を取ることは少なくありませんし、参考になる情報もたくさんあります。
しかし、未だ見ぬ100社が本当に求めているのは「あなたが日頃、一生懸命知恵を絞って、考え抜いた顧客への課題解決の提案」なのです。
ここからが本題です。その提案は、誰が書けると思いますか?生成AIでしょうか?
いいえ、違います。あなたにしか書けないのです。
生成AIは、本当に良い記事を書けるのか?
生成AIはあなたのことも、あなたの会社のことも、あなたの顧客のことも知りません。
なので、既に世に出ているネット上の情報をもとに記事の案を作ってきます。
そこで生成AIが考えてくる記事案には、あなたの会社で実際に起きているリアルな顧客の課題とあなたの提案という情報は一切加味されていません。
だから、生成AIは薄く、無難な記事しか作れないのです。(しかも間違っている可能性がある)
もし、あなたの書くお役立ち記事の内容が、ネットに転がってる有象無象の記事を参考にしただけの情報だったり、生成AIに「こんな記事書いて」と適当に指示を出して書かせた軽い記事だったら、お客さんには絶対に響かないでしょう。
お客さんの心のど真ん中を突く「生きた提案」じゃないからです。
良い記事は「商談記録」から作るしかない。
じゃあどうしましょうか?答えは1つです。
商談という場に来てくれた、目の前の顧客の課題と、あなたが一生懸命考えた提案。
これを未だ見ぬ100社に向けて分かりやすく整理して、Web上に書けば良いのです。
- 顧客はなぜあなたの会社に相談したのか?(背景・きっかけ)
- 顧客は何に悩んでいてあなたの会社に相談したのか?(課題感・悩み)
- あなたは顧客にどんな解決策を提示し、提案したのか?(解決策・提案)
Web上にページや記事を載せるときに考えるべきことは、これだけです。
これらの情報を未だ見ぬ100社に向けて、分かりやすく、まとめてWebに載せるだけです。
だから、商談記録が大事なのです。
そして、Web集客に携わるすべての人に、それらの情報を共有する必要があるのです。
と、ここまでお話したことが営業の商談記録を共有すべき理由です。
そのうえで、商談記録・顧客の声の共有に「BANT」を使う理由はシンプルです。
「まとめやすい」「分かりやすい」から。以上です。
商談情報・顧客の声を正確に吸い上げるのは難しい。
実際の商談は「情報のカオス」
BANTというフレームワークの概要と商談記録の共有の型として使う理由、商談記録の中にある顧客の声がWebマーケティングにおいてとても大事である理由はお分かりいただけたかと思います。
しかし、いざ、商談記録をBANTの型にはめて、まとめようと思っても、BANTの理想的な使い方がスムーズにできるなんてことはおそらくほとんどないでしょう。
なぜなら、実際の商談の現場で繰り広げられる顧客と営業の会話は情報のカオスだからです。BANTのような決まった形式の項目を簡単に拾い上げられるほど単純には、行かないかもしれません。
まず、お客様自身が予算・決裁権・要望・導入時期といった情報を事前に整理したうえで、商談に臨んでくれるなんて都合の良いことは起きないし、何ならお客様は、営業であるあなたに「よしなにやってほしい」と思っていることでしょう。
実際の商談現場はこんな感じだ。
実際に商談に来られるお客様は、具体的には次のような感じではないでしょうか?
お客様自身が、自分たちの課題感をうまく整理できていない。
→自社のことを正確にわかりやすくまとめたうえで話してくれるお客様ばかりではない(NDAの締結が無いと詳細を話せないケースもある)
お客様自身が、自分たちは何をどうしたいのかを決め切れていない。
→皆さんの会社を含め、色々な会社から話を聞きながら自分たちがやりたいことが固まっていくことも普通に起こり得る(お客様は何が正解か分からないから皆さんの会社に話を聞きに来ているということでもある)
お客様自身が、営業にどういうことをしてほしいのかをうまく伝えられない。
→お客様は正解に辿り着くまでのプロセス、どう進めていくのが良いのか、を想像できていないことが多い など
こんなことは日常茶飯事ではないかと思います。
中には、お客様自身が、自社の背景・課題感・目的・皆さんの会社や営業に期待することを整理して、話してくれる場合もありますが、おそらくそんなに多くはないでしょう。
商談に来るお客様の行動はこんな感じだ。
なので、実際のお客様はこういう行動を取るでしょう。
アポ取りしたときのお客様からのメール:
御社のサイトに載っているこの商材について詳しく知りたいので、オンラインミーティングをお願いします。(具体的なアジェンダがない)
商談の冒頭:
まずは、御社の商材について概要や料金について話してほしいです。(お客様側の背景や課題感、目的などは話してくれない)
商談の途中:
この商材ってこういうことできますか?こういうことをしたいんですけど、そのあたりってどうですか?おいくらですか?(背後にある課題感などは出てこず、商材の内容に関する質問に終始する)
とまあ、お客様から背景や課題感などがガッツリと出てくるということは基本的には無いのではないかと思います。
商談のヒアリングはマニュアル通りにはいかない。
これについては、営業のヒアリング力が試されるということでもありますが、営業の方にもこういう事情があります。
- お客様から背景とか課題感とかしっかりヒアリングしたいな…でも、あまり根ほり葉ほり聞くのは失礼にあたりそうだし…。NDAを締結しないと厳しいかもな…
- このお客さん、ぶっちゃけ、予算があるのか知りたいな。でも、お金持ってんの?みたいな印象を与えちゃいそうだし、聞きづらい…
- このお客さん、具体的な要望は言ってこなかったけど、商材の資料に書いてあることを説明したら、何となく、うんうんってうなずいてたらとりあえずフィットしてるかもな
- このお客さん、スケジュールはこれから決めると言っていたな。まあいいか、次、お客さんから連絡が来るまで待ってよう。 などなど
このように、営業は顧客との1対1の商談において、目に見えない空気、温度感を感じながら、ちょっとずつちょっとずつ、相手の本心を聞き出すための駆け引きをしています。
ここまでをまとめますと、つまり、営業がお客様から情報を聞き出すというのは、マニュアル通りにはいかないということです。(お客様側の都合、営業側の事情があるため)
「商談記録をBANTにまとめろ」は口では簡単に言える。
私は「商談記録・顧客の声は、BANTをうまく使って、みんなに共有しましょう」というお話をしましたが、その言葉通りに皆さんの会社の中で、営業に対して「はい、明日から商談の情報をBANT形式でまとめて、共有してね。よろしく。」という風にしてしまうと、商談記録・顧客の声の共有は高確率で失敗するでしょう。
「商談記録」の共有に対する営業の本音
営業にはこんな本音があったりします。
商談記録や顧客の声をWebマーケの担当にも共有した方がいいのはわかるんだけど、そんなこと言ったって、ヒアリングしたいけど、こういうの中々、聞けないよ。
対して、普段商談に参加しないマーケターは、いやいや、このBANTを聞くだけですよ。難しくないじゃないですか?という風に思っています。
私がこの節の冒頭で、BtoBのWebマーケティングにおいて、この営業とマーケの連携の仕組みを作り、機能させることが実務上、最も難しいと言った理由はこれがあるからです。
営業とマーケの分業体制が顧客の声を失わせる。
BtoBビジネスにWebマーケティングを導入すると、Web集客だけでも結構な仕事量があったりするため、社内で役割分担させる会社さんは少なくないのではないか、と思います。(営業とマーケ担当のように分担する)
営業とマーケターは「売上・受注」という目的は同じなのですが、実務上、関心事が微妙に違っているので、ズレが起きやすいです。
営業は目の前の顧客を相手にする職業です。主な成果は受注と売上です。その顧客が受注できるかどうか?が一番大事で、対面が主なので、コミュニケーションに非常に敏感です。
対してマーケターは多を相手にする職業です。主な成果は集客数です。たくさん集めて確率論的に成果を出すという側面があるため、数字や理論を優先させがちになります。
この両者の溝がある限り、営業は受注に直結しない集客の必要性を感じないし、それによって商談記録を共有しようとは思わないでしょう。
マーケターは集客数ばかりに目がいってしまい、顧客のことを商談記録から知ろうと思わなくなります。
これは非常にもったいないです。
だから、私は、営業だろうが、マーケターだろうが「顧客の声が一番大事なんだよ」ということを何度も言います。ぜひ、皆さんの会社では、こんな悲しいことが起こらないことを切に願っています。
商談記録の共有が難しい本当の理由
この記事で私は「商談情報・顧客の声を正確に吸い上げるのは難しい。」というお話をしました。
理由は先に述べた通りで、営業やお客様にしか分からない空気感や温度感、駆け引きがあるからです。
しかし、これは少しきれいごとでした。
商談記録の共有が難しい真の理由は実はもっと単純です。
結論から言います。
営業にとって自分の商談内容を社長や他の関係者に「包み隠さず共有する」というのは、実はとんでもなく勇気のいることなのです。
なぜかって?
営業の商談って、結果が、会社の売上に直結するじゃないですか?
なので社長とかも関心度高く見るじゃないですか。
そうすると粗が目立つわ、なんでこうしたの?と言いたくなるわで、詰め詰めモードになるわけです。
こんなんされたら、誰だって、嫌になるに決まっている。
だから営業は、商談情報を記録したがらないし、記録したとしても良いこと・無難なことしか書かなくなる。結果、失われる。
先に言っておきます。営業は悪くありません。人間の仕様です。
人間は自分にとってマイナスなことは隠したがる生き物なのです。
なので、営業が商談記録を共有してくれたら、みんなでその勇気をたたえてあげましょう。
話はそれからです。
BtoBマーケティングは「マーケと営業の共闘」が成否を分ける。
私は、営業とマーケの共闘こそがBtoBマーケティングを強くするというスタンスで、研修をしています。
もし、僕の考え方に共感いただけたなら、ぜひ、研修のランディングページを見ていただけると嬉しいです!
「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://susume.business/lp/btob-web-marketing/
なお、この研修は動画研修+フォローMTGで「第1章は会員登録で無料受講」できます。
よかったら以下のリンクから第1章を見てみてください。
【動画研修受講ページ】「営業ロジックで構築する」BtoBのWebマーケティング実践研修
https://member.susume.business/study/curriculum/22
最近Xも始めました!
お気軽にフォローしてください!
Xアカウント:空閑 由次(SUSUME講師)
https://x.com/kj_3939
記事を読んでいただきありがとうございました!
